階段の頂きに少女がいた。 足を組んでいる。 石段に腰掛けているからだ。 【智】 「――――」 獣を幻視した。 階段の上に黒くうずくまった影は、 静寂と闇に充たされた森で出会う、 昔話の牙持つものに似ている。 人に一番近しい獣とよく似た姿をしているくせに、 危険と呼ばれ、外敵と見なされる。 剣呑な殺意を口の内側にぞろりと並べている。 そんな、獣。 彼女は睥睨していた。