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今週のブラディオン / 楽屋裏
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第8回 「ASCについて」
あらら? 今日は紫音だけか? 他の奴らはどうしたんだ?
ごほっごほっ。謎のインフルエンザで……みんな寝込んでいるようだ。
かー。そろいもそろって、だらしねぇ奴らだぜ。
じゃあ、今週のブラディオンは、お休みか?
仮にもわたしは、この番組のパーソナリティーだ……。
たとえインフルエンザに罹っていようと、番組に穴を開けるわけにはいかん。
そう思って、このように床を張ってやってきたわけだが……
顔色悪すぎだぜ。病人は静かに寝てろよ
げほっ、ごほっ、うう……わたしも、体力の限界だ。
しばらく、やすませ……がくっ!
紫音まで倒れたか。全くしょうがねぇな……。
あとは、俺に任せてゆっくり休んでな
というわけで、いつものレギュラー連中は休みだ。
とはいえ、俺一人で番組をやるわけにもいかねぇからな。
よしっ……。こういう時は、あいつらを呼ぼう
時間経過。
……それでなに? そんな理由で、私たちをいきなり呼び出したってわけ?
いやークラウディア、それにヴィヴァ。
悪いな、突然呼び出してさ
寝てたのに……
ヴィヴァは、寝過ぎだ。
たまには外に出て、お日様の光を浴びた方がいいぜ。
うー
小萠が我が侭なのは昔からだし、結局部下である私たちは、小萠の頼みを断れない立場なんだけどね。
で? わたしとヴィヴァはなにをすればいいの?
いや、別になにもしなくていいぜ。
お前ら二人は、そこに座って黙って俺の話を聞いてるだけでいい。
はあ? 話を聞いてるだけ? それだけのために呼び出したの?
信じられないわ……
隊長は、いつもこうだから……しかたない
ヴィヴァは、俺の性格をよくわかってるじゃねぇか。
いいわ。小萠がそこまでいうのなら、さぞ大事な話なんでしょうね。
話してご覧なさい。ここで、聞いててあげるから
実は、台本によるとな。
今週は神術兵《スクライブ》の必須装備である【相事象神術転換炉《ASC》】について
説明しなきゃいけないらしいんだ……。
そうじしょうしんじゅつてんかんろ。舌を噛みそうな名前ね……
だから、私たちは省略してASCって呼んでるわね
で、こいつはなにをするための装備かというとだな……。
転換炉っていう名前の通り、エネルギーを転換するための装置なんだ
圧力を熱エネルギーに転換したり、熱を電気に転換したりとか、
似たような機械は、色々あるわよね
ヴィヴァの使うドライヤーも、電気を熱風に転換している
そう、このASCはドライアーのようなもんだと思ってもらっていい。
相変わらず、説明が雑ね……。ほんと大雑把な性格は、昔から変わらないわね
うるせぇ! じゃあ、クラウディアだったら、ASCのことをどう説明するんだよ!?
神術を扱うには、【神性素粒子】という特殊なふるまいをする粒子を制御する必要があるわ
神性素粒子は、質量も電荷も持たない粒子だから、通常の環境……通常の技術では、
制御できない
だから、私たちスクライブは、ASCの内部に高密度のエネルギー場を作り出して、
そこに神性素粒子を流し込んで制御しているの
制御された神性素粒子は、色々な事象改変を起こす……。
たとえば、金属原子を大量に生成して、鋼鉄の物質を産み出すとか……
辺り一面、火の海にするぐらいわけもないわね
もし相手が、そうしてきたら……ヴィヴァは、すぐに火を沈静化させる物質を作る
じゃあ私は、衝撃を起こしてその物質を吹き飛ばすわ
とまあ……こんな風に、神術を扱う方は、相手の仕掛けてきた手に臨機応変に対処する、
対応力も必要になるの
そのためのASC……そのための右手
こんなところかしらね? あら? 小萠どうしたの?
畜生……優秀な部下たちを持ったせいで、俺の出る幕がねぇ……(がくり)。
小萠が、雑な説明で片付けようとするからでしょうが
自業自得
だが、神術の説明はこれで終りじゃねぇぞ。まだまだ続くからな。
いいわ。次も、わたしとヴィヴァが説明してあげる
頑張る
おい! 勝手に張り切るな!
ちくしょー。なぜだ。ばかやろー!
紫苑警部、荒れてますね……
ほっとけ。関わると面倒だぞ?
やっぱり、先週出た体験版で、ほとんど出番がなかったのがくやしかったのでしょうか?
でも、お気持ちはわかります。
紫音警部、あれだけ体験版楽しみにしてましたから……
いや、それも悔しかっただろうが、あいつがいまあれだけ荒れてるのは、
行きつけの駄菓子屋の店主が、 リュウマチを患って、店を閉めることを決意したからだ
なんと……そっちの理由でしたか
だから、ほっとけといったんだ
もうあの店にはいけないのか……くそう。
わたしは、わたしは……これから、どの店で駄菓子を買えばいいのだ!
紫音警部って、酒飲みの癖に子供っぽいお菓子が好きなんですよね
子供の頃から、ずっと訓練に明け暮れていたせいで子供らしいことを一切させてもらえなかった……。 その反動だろう。哀れな奴だ
それは三尉も同じことでは?
なにかいったか?
うう……。ちくしょう……。
今日のスコッチは、やけに喉に染みる……。涙の味がするぞ
まあまあ警部。駄菓子だけが、美味しいお菓子ではございません。
ここに来る途中で買ってきたゴベバのチョコレートがここにあります。
お一ついかがですか? 美味しいですよ
なんだこの気取った形のチョコレートは……。
本当に美味しいのか? どれ……もぐもぐ
どうですか?
苦い! こんな苦いチョコレートは、チョコレートではない!
大人向けの味付けですので、少々ビターに作ってありますが、
そこまで苦いってことはないと思います
ダメだ。このチョコレートは、わたしの口にあわん。
もっと、噛んだ瞬間にボロボロに崩れ落ちるやつとか、異様に甘くて
カラフルな砂糖が掛かったものがいい。
それは、駄菓子ではありませんか……
だからいっただろ。構うな、放っておけと。
あ……甘いお菓子が食べたすぎて……げ、幻覚症状が出てきた。
……部屋の模様が、迫ってくるー!
やめろ……それ以上、わたしに近付くな……!
三尉、お一ついかがですか
いただこう。これ、カヱデが買ってきたのか?
来る途中に、ちょうどお店をみつけましたので……
やっぱり、チョコレートは、このぐらい甘さを抑えた物の方が旨いな
そうですよね~。いま、珈琲いれますね
悪いな
なんだこの赤ん坊の大群は? ええい! わたしの足にまとわりつこうとするな!
あっちいけ! しっしっ……! もう、やめてくれ~!
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