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みなさんこんにちは。『今週のブラディオン!』今日も、平穏無事に始まりました……
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カヱデどうした? 今日は、いつにも増して表情が硬いぞ?
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緊張しております。
なにしろ今日は、超が付くほど特別なゲストにお越し頂いておりますので……
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そうです。本日のゲストは、当今皇尊読子陛下であらせられます。
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こういう番組に出るのは、はじめてじゃ。
みなのものよろしく頼むぞ。
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陛下に向かって、そんな口の利き方はいけないであります!
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変わった名前だな。……当今皇尊読子。どこまでが名字で、どこからが名前なんだ?
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三尉まで……。
ご存じの通り、読子陛下はやんごとなき身分のお方であらせられます。
名字なんてありません。
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そう堅苦しくなるでない。
わらわのことは、読子……と呼び捨てにしてくれて構わん。
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読子か……。
そのまま呼び捨てにすると、そこにいるカヱデが怖い顔をするので、せめて陛下とつけよう。
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うむ、実はな。
今日は、みんなに我が国が置かれている立場を知らせたくて、はるばるやってきたのじゃ。
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三年前の戦争で敗北してから……我が日本国は、『エルサレム条約』に批准する枢要国家聯合(総合)の支配下に置かれています。嘆かわしいことであります。
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そうなのじゃ。
先の大戦の戦勝国グループである聯合が派遣した軍……『機構軍』が、我が国のあちこちに駐留し、支配を続けておる。
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他国の軍に自由を奪われているというわけか。
敗北し、主権を奪われた国というものは、情けないものだな。
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国内の政治は、聯合が作った『極東方面統治委員会』によって監視されておる。
一応、日本国内の行政は、日本人が担当しておるが、統治委員会の決定がなければ、
なにも決められん。お飾りの政権じゃ……
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敗戦からの復興……。
そして真の独立を勝ち取るには、極東方面統治委員会の支配から脱却し、
機構軍を全て追い出さなければいけません。
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突然、驚かせてすまん。ちょっとばかり、スパイ映画の真似事をしてみたかったのよ。
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へ……陛下のいたずら好きは、昔からお変わりないようで……
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大変だなんて!
……陛下のお相手をさせていただくのは、光栄なことであります。
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それで、皇尊である読子陛下はどうされたいのですか?
機構軍をこの国から追い出したいのか。
それとも、このまま植民地的待遇に甘んじていたいのか……どちらです?
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難しいのう……。わらわ一人では、決められん問題じゃ。
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陛下、ご意志を軽々しく打ち明けてはなりません。
この番組は、誰が聴いているのか、わからないのですから。
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そうか……。まあ正直、わらわには政治のことはよくわからん。
どうしたいか選ぶのは、民たちじゃ。
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そうですね。この国の未来をどうするのか……それは、我々国民一人ひとりの問題であります。
陛下に全てを押しつけたりはいたしません!
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果たして、国民はなにを望んでいるのか……
また、この小さな国家元首様はどうなるのやら……
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