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今週のブラディオン / 楽屋裏
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第14回 「アナザーについて」
今週もはじまりました。『今週のブラディオン!』 今日は、なんと14回目であります!
細かい積み重ねが、積もり積もって、いつか大輪の花を咲かせる日が来るのですわ。
そういうものでありましょうか?
ローマは一日にしてならず……の言葉どおり、毎日一歩一歩地道に進んでいくその姿こそが、
まさに人間《ノーマル》という感じで好感が持てますわね。
ハイム……それはなんとも貴様らしくない発言だな?
まるで、人間たちを応援しているかのような口ぶりだ。
当然、本心ではあるまい?
あら、そんなことはありませんわ。道ばたを進む蟻の行列が、懸命に餌を巣に運ぼうとしている…… あと一歩で巣に辿り着くというところで、一気に行列を踏みつぶす……。 それはなんともいえない快感でしょ?
酷いであります……
蟻たちも、お前に踏みつぶされるために生きているのではないだろうに……。
しかし、相変わらずの変態で安心したぞ。
そうですわねぇ……。
蟻を踏みつぶしても、得られる快感は少なく、たしかに面白味に欠けますわ。
そういうことをいっているのではない!
どうせ踏みつぶすのなら、やはりノーマルがいいですわ。
彼らが、千年……二千年とかけて築き上げてきた文明を全て破壊して、
この地球を文明誕生以前の状態に戻すことができたら、どれほど快感かしら……うっとり。
……なんだか、幼い子供の妄想のようであります。
そんな幼稚な発想をするのが『アナザー』なのでありますか?
あら~? なにそのいい方?
私のことをただの妄想癖の頭のおかしいオカマとでもいいたいのかしら?
その通りだろうが。なにも間違ってはいない。
ええ~そうですとも、いまのは単なるオカマの妄想。
アナザーとか、ノーマルとか関係ない……幼稚な破壊衝動を言葉にしただけのことですわ。
どうした? 急にしおらしくなったな?
どうせ私たちのことなんて、誰も理解してくれないのですわ。
特に人間たちには、私たちアナザーの悩みなんてわからないのですから……
そんなことないであります。話してくだされば、なにかお力になれるかもしれません!
あら~? それは、ほんとう?
やめとけカヱデ。情緒不安定なオカマなど、相手にするだけ無駄だ。
オカマとか、いわないで欲しいですわ。この口調は、単なる趣味なの。
紫音ちゃんのように、男でも女でもない……『中性』でいたいと主張しているのではありませんわ。
貴様! いまは、わたしの話をしているのではないだろうが!
警部。番組中であります。抑えて抑えて……
ハイム、貴様はもう帰れ。お前がいると、いつか大事になるかもしれん。
いわれなくても帰りますわ。
でも最後に……アナザーとノーマルの根本的な違いについて説明させてくれないかしら?
いいだろう。最後に聞いてやるからとっとと説明しろ。
ノーマルが、地べたを這いずり回る地上の生き物なら、
我々アナザーは、それを遙か高見から観察している――神よ!
さあ、人間たちよ私たちアナザーを崇めなさい! 奉りなさい!
あなた方が、手を会わせて祈りを捧げる対象がここにいるわよ!
そう……で、ありますね
ハイム、貴様はもう帰れ! そしてもう二度と、この番組にくるな! いいな!?
はいはい……。わかりましたわよっと。
それじゃあ、お土産に直人ちゃんをもらって帰りますわね~
三尉! 起きてください! 目を覚まさないと危険であります!
ん? なんだか、今日の楽屋はいつもと違う匂いがするな。
本当だ? いつもとは違う、甘い香り……これは、花の香りか?
三尉も警部も、ようやく気づかれましたか?
カヱデ、貴様の仕業か? いったいなにをした?
そんなに警戒されなくても大丈夫であります。
これはアロマオイルというもので、害のあるものではありません。
アロマ……オイルだと? なんだか、旨そうな名前だな。
そうでありますか? でも、アロマオイルは食べ物ではありません。
植物から抽出した液体をアルコールなどと合成したものであります。
匂いだけじゃなく、種類によっては、脳をリラックスさせる効果を持つオイルも存在するのであります。
ほう? 先ほどから、なんとなくいい気分なのは、そのアロマオイルのせいなのか?
きっとそうであります。さっそく効果が現われているようですね。
香水のような露骨な匂いは嫌いだが、こういう優しい匂いは嫌いではないぞ。
オイルにも色々種類があるのです。
興味がおありでしたら、説明いたしますが?
ほう、どれどれ?
オイルには、花から抽出するフローラル系、ハーブなどから抽出するハーブ系などがあります。
その中でも特にリラックス効果があるのは……
ふむふむ
……駄目だ。この甘ったるい匂い、おれには耐えられん。
これ以上、この空間にいると頭痛がしてきそうだ。
というわけで……あれ、三尉?
ど、どうして窓をお開けになるのですか?
なんだか、部屋の匂いに胸焼けがしてきた……だから空気を入れ換えたかったんだ。
このオイルの匂いは、三尉のお好みではありませんでしたか?
おれは、なにも匂いがしない『無臭』が一番好みだ。
そういうオイルがあれば、それを使ってくれ。
……残念ながらそういうのはないであります。
女どもは、よくこんな甘ったるい匂いを平気で嗅いでいられるな?
紫音、お前もこの匂いが気に入ったということは、やっぱりお前も『女』だな……
な!? なんだそのいい方は?
別に……女に女だといってなにが悪い?
確かにわたしは女だが、そのような引っかかるいい方をされるのは気にくわんな。
なに怒っているんだ?
窓を開けたのが気に食わなかったのなら、おれが出て行くよ。
苛立っているのは、直人の方ではないのか?
あ……まさか貴様、わたしたちの話にまざりたかったのか?
すまんな、仲間はずれにして。
そんなんじゃない……。いいよ、おれが出て行く。
あ、三尉……
ふん、もっと素直になればいいものを。
ちょっと……やり過ぎましたかね。反省します。
カヱデが謝ることではない。さ、話の続きをしようではないか。
ですが……
ほっとけ、直人のことだ。お腹が空いたらもどってくるはずだ。
そんな、子犬ではないのですから。
(え? まさか、こんなギスギスした展開のまま次週に続くというのでありますか?)
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